電気代の節約を考えるなかで、「ブレーカーを落とす」という方法に注目されている方も多いのではないでしょうか。電気を使わない時間帯に電力の供給自体を止めることで、待機電力を節電できるのではと期待される一方で、実際にどれほど効果があるのか、またリスクや注意点が気になる方もいらっしゃることでしょう。
本記事では、電気代の節約でブレーカーを落とすことの効果や「電気代は安くなる?」という疑問に対する解説をはじめ、ブレーカーは落とした方がいい?という判断基準についても詳しくご紹介いたします。
また、デメリットや火事など安全面に関する不安や、使わないブレーカーは切るべきかどうかのポイント、基本料金との関係性についても触れていきます。さらに、ブレーカーを操作する際の順番や、長期不在でブレーカーを落とすとどうなる?といった場面ごとの注意点も丁寧に整理しています。
初めてブレーカーの操作による節電を検討されている方でも分かりやすく理解できるよう、基礎から応用までわかりやすく解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
- ブレーカーを落とすことで待機電力を節約できる理由
- ブレーカーを落としても基本料金は変わらないこと
- 節電時に注意すべき家電や操作手順
- ブレーカーを落とす際のメリットとデメリット
電気代の節約にブレーカーを落とすは本当に効果的?
- 待機電力を節電できる?
- 電気代は安くなる?
- 基本料金は安くなる?
- ブレーカーは落とした方がいい?
- 使わないブレーカーは切るべき?
待機電力を節電できる?

はい、ブレーカーを落とすことで待機電力の節電は可能です。待機電力とは、家電製品を使っていない状態でも、コンセントにつながっているだけで消費されている電力のことを指します。電源がオフのように見えても、内部で時計やセンサー、ネットワーク機能などが稼働しており、電気を使い続けているのです。
待機電力は家庭の年間消費電力の中で、およそ5~6%ほどを占めているといわれています。この割合は決して小さくなく、資源エネルギー庁のデータによれば、一般家庭では年間約228kWh、金額にすると約7,000円前後の待機電力が発生しているケースもあるとされています。
例えば、テレビ、BDレコーダー、ガス温水器、Wi-Fiルーターなどは、電源を入れていなくても常に電力を使っています。これらすべての家電が接続された状態で放置されていれば、積み重ねによって無視できない電気代となってしまいます。
ブレーカーを落とせば、それらの家電への電力供給を強制的にストップできるため、待機電力をゼロに近づけることが可能です。ただし、冷蔵庫やセキュリティ機器のように通電が前提となっている家電まで停止してしまうため、実際にブレーカーを落とす前には、落とす回路をしっかりと確認する必要があります。
このように、ブレーカーを落とすことで待機電力を節約することは可能ですが、すべてのケースにおいて実行するのが最適とは限りません。電源タップのスイッチを利用するなど、より柔軟で安全な方法を検討するのもよいでしょう。
電気代は安くなる?
ブレーカーを落とすことで、ある程度は電気代の節約が期待できます。ただし、その効果は主に「待機電力」の削減にとどまるため、大幅な節約を見込むのは難しいかもしれません。
多くの家電は、使っていないときにも微量の電気を消費しています。テレビやオーディオ機器、電子レンジ、Wi-Fiルーターなどが代表的な例です。これらが消費する待機電力をゼロにする手段の一つが、ブレーカーを物理的に落とす方法です。
実際、一般家庭における年間の待機電力は7,000円前後にもなるため、理論的には月に500円以上の節約につながる可能性があります。これは、たとえば長期旅行などで家を数日間空ける場合に有効な手段となるでしょう。
一方で、日常的に頻繁にブレーカーを落とす運用には注意が必要です。冷蔵庫の電源が切れることで食品が傷んだり、給湯器が凍結したり、セキュリティ機器が停止して防犯上のリスクが高まるなどの問題が発生する恐れがあります。さらに、家電によっては頻繁な通電・遮断が故障の原因になることもあります。
つまり、ブレーカーを落とすことで確かに電気代は安くなりますが、その効果は限定的であり、状況によってはリスクが高くなる場合もあるのです。
短期間の節電であれば、電源タップのスイッチをこまめに切る方法や、待機電力の少ない家電を選ぶほうが現実的で安全です。電気代の節約は、無理のない範囲で続けられる工夫を取り入れることが鍵となります。
基本料金は安くなる?

ブレーカーを落とすだけでは、契約している電気の基本料金が安くなることはありません。基本料金は、実際の使用量とは関係なく、契約しているアンペア数や電力プランに応じて定額で請求されるものだからです。
例えば、東京電力の「従量電灯B」というプランでは、10アンペアで月286円、30アンペアで月858円など、契約アンペア数が大きくなるほど基本料金も高くなります。この料金は、たとえ月に一度も電気を使わなかったとしても発生します。
つまり、電気を使わずにブレーカーを落としていても、契約内容が変わっていなければ、基本料金は通常通り請求されることになります。電気代を根本から見直したい場合は、「契約アンペア数を下げる」「電力プランを変更する」「他社への乗り換えを検討する」などの方法が必要です。
ただし、契約アンペア数を下げる際には注意も必要です。下げすぎると同時に使える家電の数が制限され、ブレーカーが頻繁に落ちる原因になってしまうことがあります。
このように、ブレーカーを落とすだけでは基本料金の節約には直結しません。もし電気代の固定費を削減したいと考えるなら、契約内容そのものを見直すことが有効です。
ブレーカーは落とした方がいい?
状況によっては、ブレーカーを落とした方がよい場合もありますが、常にそうするべきとは限りません。とくに長期間の不在時には、待機電力の節約や安全面の理由からブレーカーを落とすことが推奨されることがあります。
例えば、1週間以上自宅を空けるときなどは、冷蔵庫や給湯器をあらかじめ止めておき、ブレーカーを落とすことで余計な電力消費を防げます。このときは、冷蔵庫の中身を空にし、給湯器の凍結防止機能が不要な季節であることを確認しておくと安心です。
一方で、普段の生活の中で頻繁にブレーカーを落とすのはおすすめできません。家電によっては通電と遮断を繰り返すことで故障リスクが高まり、特にエアコンや冷蔵庫は影響を受けやすいとされています。また、セキュリティシステムやインターホン、Wi-Fiルーターなども停止してしまうため、防犯や通信面に支障が出ることもあります。
さらに、マンションによってはブレーカーを落とすと警報が作動するケースもあるため、事前に管理会社に確認しておくべきです。
このように、ブレーカーを落とすことにはメリットもデメリットも存在します。生活スタイルや家電の使用状況を考慮し、必要なタイミングだけ活用するのが賢明な判断といえるでしょう。
使わないブレーカーは切るべき?

使っていない回路のブレーカーは、状況によって切ることを検討しても良いでしょう。特定の部屋や設備をまったく使っていない場合、その回路への電力供給を止めることで、わずかではありますが待機電力の削減につながる可能性があります。
例えば、倉庫として使っているだけの部屋や、空き部屋になっている子ども部屋など、コンセントに何もつながっていないような場所があれば、そのブレーカーを切ることで不要な電力供給を遮断できます。これは特に、長期間使わない部屋がある家庭で有効です。
ただし、切っても意味がない場合もあります。電源が入っていない状態のコンセントや照明に対しては基本的に電力は流れていないため、ブレーカーを切ることで大きな節電効果があるとは言い切れません。加えて、どのブレーカーがどこに対応しているかを正しく把握していないと、必要な場所の電力まで止めてしまうリスクもあります。
また、電源を切ることで自動更新機能や時刻設定がリセットされる家電がある場合、再設定の手間がかかることも想定しておく必要があります。
こうしたことを踏まえると、使わないブレーカーを切るのは節電の一手段として有効ではあるものの、無理にすべてをオフにする必要はありません。状況に応じて判断し、安全を最優先に考えながら行動することが大切です。
電気代の節約にブレーカーを落とす際の注意点まとめ
- デメリットは?
- 火事のリスクはある?
- 注意しておくべきこと
- 順番に気をつけよう
- 長期不在でブレーカーを落とすとどうなる?
- 家電トラブルを避けるためのポイント
デメリットは?

ブレーカーを落とすことで節電は可能ですが、いくつかのデメリットも存在します。これを知らずに実行すると、思わぬトラブルを招く可能性があるため注意が必要です。
最も大きなデメリットは、通電が必要な機器が使えなくなることです。例えば冷蔵庫は中の食品が腐ってしまう恐れがあり、給湯器は冬場に凍結して故障するリスクがあります。エアコンやペット用のヒーターなど、温度管理が重要な家電も停止することで健康や安全に影響を及ぼすかもしれません。
また、防犯上の問題も見逃せません。ホームセキュリティシステムやインターホン、防犯カメラなどがブレーカーを落としたことで使えなくなると、空き巣や侵入者に対する対策が無力化してしまいます。とくにWi-Fi経由でクラウド保存を行うタイプのカメラは、インターネットが切断されることで録画データが残らなくなることもあります。
さらに、電力供給を急に断ったり再開したりすることで、電子機器の一部に負荷がかかり、寿命が縮んだり故障の原因になることもあります。特に繊細な機器や古い家電では、この影響が大きくなる傾向にあります。
こうしたデメリットを理解せずに、節電目的だけで安易にブレーカーを落としてしまうのは危険です。必要な場合には部分的にブレーカーを操作する、または電源タップのスイッチを活用するなど、より安全で柔軟な方法を選ぶことをおすすめします。
火事のリスクはある?
ブレーカーを落とす行為そのものが火事の原因になることは、通常はありません。むしろ電気の供給を断つことで、通電による異常発熱やショートといった火災リスクを抑える効果があります。
例えば、漏電している家電やコードがあった場合、電気が流れたままだと発火の危険があります。しかし、ブレーカーを落とせばその回路への通電が止まるため、火災の予防につながるといえるでしょう。
一方で、落としたつもりのブレーカーが実は切れておらず、一部の電気系統が通電したままになっているケースや、誤ってブレーカーを頻繁に操作することで配線に負荷がかかるといった状況には注意が必要です。また、電気工事が不完全な状態や、老朽化した分電盤などを無理に操作することも、安全面でのリスクとなります。
さらに、ブレーカーを落としたあとに再び電源を入れる際には、すべてのスイッチが切れていることを確認しなければなりません。通電と同時に複数の家電が一斉に動作を始めると、過電流による発熱が起きる可能性があるためです。
つまり、ブレーカーを落とすことは基本的に安全な行為ですが、正しい知識と操作方法を理解したうえで行うことが大切です。火事を予防するためには、日頃の点検や漏電ブレーカーの設置なども含めた総合的な対策を意識すると安心です。
注意しておくべきこと

ブレーカーを落とす前には、いくつかの重要な注意点を確認しておく必要があります。これを怠ると、節電どころかトラブルを招いてしまうこともあるため、慎重な対応が求められます。
まず、家電製品やシステムの中には、電源が突然切れることで不具合が生じるものがあります。冷蔵庫や給湯器、エアコンなどはその代表例で、内部システムのリセットや部品への負荷がかかることによって、故障や寿命の短縮につながることもあります。
また、ブレーカーを落とすタイミングにも注意が必要です。例えば、録画予約をしているレコーダーや、更新作業中の電子機器に通電がないと、データの損失やエラーの原因になる可能性があります。
防犯設備にも配慮が必要です。オートロック付きのマンションやセキュリティカメラが設置されている住宅では、ブレーカーを落とすことで警報システムが作動する場合があります。管理会社に確認を取ってから対応するようにしましょう。
さらに、どのブレーカーがどの部屋や設備に対応しているのかを把握しておくことも大切です。誤って必要な電源まで遮断してしまうと、生活に支障をきたすだけでなく、安全面にも影響を与えることがあります。
これらの点を理解したうえで、必要なときだけ適切にブレーカーを落とすようにしましょう。無理に毎日操作するのではなく、状況に応じた柔軟な対応が、安心して節電を行うための基本になります。
順番に気をつけよう
ブレーカーを落とす際は、正しい順番で操作することが大切です。順番を誤ると、家電への負荷がかかったり、再通電時にトラブルが起こる可能性があります。
一般的には、個別の分岐ブレーカーを先に落とし、最後に主幹ブレーカー(全体の電源)を切るのが基本的な手順です。分岐ブレーカーは、キッチン、リビング、洗面所などの各エリアや機器ごとに電源が分かれている部分を指します。先にこれらをすべてオフにしておくことで、主幹ブレーカーを切ったときに電流の急な遮断を避けることができます。
また、再び電源を入れる際も、順番は重要です。主幹ブレーカーを最初に入れ、その後で分岐ブレーカーを一つずつ戻していくようにしましょう。そうすることで、各回路に負荷が一気にかからず、家電が誤作動したりブレーカーが落ちたりするのを防げます。
特に注意が必要なのは、エアコンや冷蔵庫、パソコンなどの精密機器が接続されている回路です。これらは突発的な電源のオン・オフに弱く、故障のリスクがあるため、電源が入っていない状態で通電させることが基本です。
このように、ブレーカーを操作する際はただ落とす・上げるだけではなく、順序を守ることが安全かつスムーズな節電の第一歩となります。事前にブレーカーの構成を把握し、無理なく操作できるように準備しておきましょう。
長期不在でブレーカーを落とすとどうなる?

長期間家を空ける場合、ブレーカーを落とすことで電気代の節約が期待できます。とくに、1週間以上自宅を不在にするような旅行や出張の際には、使わない家電に無駄な待機電力を与えないための有効な手段となります。
待機電力は、家電がオフの状態でも電力を消費し続ける仕組みによるものです。テレビ、レコーダー、Wi-Fiルーターなどがその典型で、通電しているだけで年間数千円分の電気代が発生することもあります。長期不在時にこれらを完全にシャットアウトできれば、節約効果は十分に期待できます。
ただし、すべてのブレーカーを一括で落とす前に、注意すべき点がいくつかあります。まず冷蔵庫が稼働している場合、中の食品は事前にすべて処分し、内部を清掃したうえで電源を切っておく必要があります。通電されたまま放置されていると、電気を使い続けるだけでなく、食材が腐るリスクも残ります。
また、防犯面も見落とせません。インターホンやホームセキュリティシステムが通電していない状態では、外部からの不審な侵入に気づきにくくなります。Wi-Fiが切れることで、クラウドに録画を保存するタイプの防犯カメラが機能しなくなるケースもあります。
さらに、冬場であれば給湯器の凍結防止機能が使えなくなり、配管が破損するリスクも高まります。このような設備は通電を維持する必要があるため、個別にブレーカーを管理できるよう準備しておくと安心です。
このように、長期不在中にブレーカーを落とすことで節電効果は得られますが、機器の特性や安全性を十分に考慮したうえで、必要な部分のみを選んで操作することが大切です。
家電トラブルを避けるためのポイント
ブレーカーを落として節電を試みる際、家電のトラブルを未然に防ぐためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。これらを意識せずに電源を遮断してしまうと、最悪の場合は故障や安全上の問題につながることもあります。
まず、通電と遮断に敏感な家電には特に注意が必要です。冷蔵庫、エアコン、給湯器、電子レンジなどは、内部にコンプレッサーや制御基板を搭載しており、電源のオン・オフが頻繁に繰り返されることで負荷がかかりやすくなります。とくに、稼働中にブレーカーを切ると、内部の部品に一時的な圧力がかかり、動作異常や劣化の原因になります。
次に、ブレーカーを落とす前に家電の電源スイッチをオフにしておくことが重要です。スイッチが入ったままの状態で通電を復帰させると、一斉に家電が起動して過電流が流れるおそれがあります。これは、特に古い家電や回路が弱っている環境では、ブレーカーが再び落ちる原因にもなりかねません。
また、録画機能や時刻設定がある機器についても注意が必要です。レコーダーや炊飯器、電子時計などは、電源が切れることで予約や時刻設定がリセットされてしまうことがあります。これにより、録画ミスやタイマー機能の不具合が発生することがあります。
さらに、ブレーカーの操作は慎重に行うこともポイントです。力を入れて乱暴に扱うと、ブレーカーそのものの寿命を縮めてしまうことがあります。操作前には、どのブレーカーがどの部屋や機器に対応しているかを把握しておくと安心です。
これらのポイントを踏まえて行動することで、節電と家電の安全を両立することができます。急がず、一つ一つ確認しながら進めることが、トラブル回避の鍵となります。
電気代の節約でブレーカーを落とす方法のまとめと注意点
この記事のポイントをまとめます。
- ブレーカーを落とすことで待機電力の節電が可能
- 家庭の待機電力は年間で約7,000円に達することもある
- テレビやWi-Fiルーターは通電中に常に電気を消費している
- ブレーカー操作によりこれらの家電の待機電力をカットできる
- ブレーカーを落としても基本料金は安くならない
- 基本料金を下げたい場合は契約アンペア数の見直しが必要
- 長期不在時にブレーカーを落とすのは節電に有効
- セキュリティ機器が停止するため防犯上の確認が必要
- 冬場は給湯器の凍結防止機能に注意が必要
- 家電によっては電源の遮断で不具合が起こる場合がある
- ブレーカーを落とす前に家電の電源スイッチをオフにしておく
- 操作は分岐ブレーカーから主幹ブレーカーの順で行う
- 通電時は主幹から分岐ブレーカーの順に戻すと安全
- 電源を頻繁に遮断すると家電の寿命を縮める可能性がある
- 電源タップのスイッチ利用など柔軟な節電方法も検討すべき
くらしのマネハックの評価は…
項 目 | 評 価 |
---|---|
効 果 | |
再現性 | |
難易度 |
総合評価:Bランク
(条件が合えば使ってみる価値あり)

長期不在時の節電手段としては有効。日常使いには注意と知識が必要。